レヴァイン&ウィーン・フィルによるモーツァルトの≪ポストホルン≫を聴いて

レヴァイン&ウィーン・フィルによるモーツァルトの≪ポストホルン≫(1982年録音)を聴いてみました。

なんとも流麗な演奏となっています。
レヴァインの演奏は、豊麗でグラマラスなものが多いように思うのですが、ここでは引き締まった音楽が奏で上げられています。キリリとしている。清々しくもある。
しかも、レヴァインならではの、屈託がなくて、真っすぐで、溌溂としていて、晴れ晴れとした演奏が展開されている。実に颯爽としている。幸福感に満ちている。モーツァルトならではの飛翔感も十分。とてもしなやかでもある。そして、セレナードというジャンルに相応しい愉悦感に溢れている。
なるほど、第5楽章では、この楽章に相応しい愁いに満ちた音楽が奏で上げられています。とは言うものの、悲観的に傾くようなことはなく、ポジティブであり、伸びやさを伴っていて、晴朗な音楽となっているのが、レヴァインらしいところだと言えそう。
そのうえで、全編を通じて、頗る典雅な音楽が鳴り響いています。
そこへもってきて、ウィーン・フィルの柔らかくて艶やかな音色の、なんと美しいこと。第3,4楽章での、木管楽器のソロが織り成すコンチェルタンテ楽章では、この上なく優美な音楽が鳴り響くこととなっています。それは、まさに「天国的」と形容できよう。また、この両楽章に限らず、全楽章を通じて雅趣に溢れた音楽世界が広がることに、ウィーン・フィルの面々が大きく貢献していると言いたい。第6楽章でのポストホルンによるソロも、実に柔らかいものとなっている。

心がときめいてくる演奏。
なんとも素敵な演奏であります。