ポリーニ&アバド&ウィーン・フィルによるブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴いて

ポリーニ&アバド&ウィーン・フィルによるブラームスのピアノ協奏曲第2番(1976年録音)を聴いてみました。

1970年代中頃のポリーニということで、強靭で、しかも、透明感のあるタッチで彩られている演奏となっています。覇気が漲っていて、剛毅で、激情的でホットな演奏ぶりとなってもいる。粒立ちが鮮やかで、敏捷性が高く、明快でもある。そして、とてもアグレッシブ。そう、良い意味で「前のめり」な演奏になっている。
と言いつつも、強靭さや鮮烈さのみを追求している演奏でもないように思えます。適度に丸みを帯びたものとなっている。筋肉質な演奏というよりも、ふくよかさのようなものが感じられる場面も多い。或いは、豊麗であるとも言えましょう。そのような表現を織り交ぜつつ、毅然とした音楽を奏で上げている。そこには、率直な「情熱の発露」と呼べるようなものが感じられもする。
そのうえで、音楽のフォルムが崩れるようなことは全くなく、端然とした佇まいを見せてくれている。歌心に満ち、リリシズムに溢れてもいる。そして、ブラームス特有の「うねり」やロマンティシズムがしっかりと表出されている。第3楽章においては、夢幻的な雰囲気が漂ってもいる。
そんなポリーニをサポートするアバドがまた、適度に熱くて鮮やかで、推進力に満ちていて、しかも、端正な演奏ぶりを示してくれています。音楽づくりがしなやかなであり、伸びやかで、生き生きとしていて、表情豊かでもある。そして、こちらもまた、歌心に溢れている。
そして、ここでもウィーン・フィルが、柔らかくて艶やかで優美な音を添えてくれているのが、なんとも嬉しい。

ピアノも指揮も、知情のバランスが極上だと言えるのではないでしょうか。
なんとも見事な、そして、頗る魅力的な演奏であります。