クーベリック&イギリス室内管によるドヴォルザークの弦楽セレナードを聴いて

クーベリック&イギリス室内管によるドヴォルザークの弦楽セレナード(1969年録音)を聴いてみました。

なんとも瑞々しい演奏が繰り広げられています。清潔感に溢れている。頗る端正でもある。
この作品、元来が爽やかで清々しい雰囲気に包まれている音楽だと言えましょうが、そのような要素が誠に屈託なく表出されていると言いたい。
そのうえで、クーベリックならではの、篤実な音楽づくりが施されています。そのこともあって、滋味に満ちた趣深さを湛えている。室内オーケストラを起用しての演奏ではありますが、ふくよかさのようなものが感じられもする。そして、とても暖かみがある。
更に言えば、第3楽章などで顕著なのですが、音楽の織り成す綾が、明瞭に透けて見えるような演奏となっている。そういったことも含めて、全編を通じて、克明にして見通しの良い演奏が繰り広げられています。この辺りは、室内オーケストラを起用していることが生かされた結果でもあるのでしょう。

クーベリックによる同曲の演奏と言えば、1977年に手兵のバイエルン放送響を指揮したもののライヴ盤も世に出ており、そちらでは、逞しさを備えていて、生気に溢れた演奏ぶりに触れることができます。当盤よりも、ヴィヴィッドな演奏が繰り広げられている。
聴いていてワクワクしてくる、という点では、ライヴ盤の方に軍配を上げるべきかもしれません。とは言うものの、当盤での、端正にして清浄な空気に包まれた演奏も、とても魅力的であります。
この佳曲の魅力を堪能することのできる、なんとも素敵な演奏。そんなふうに言いたくなる演奏であります。