レヴァイン&シュターツカペレ・ドレスデンによるドヴォルザークの交響曲第8番を聴いて

レヴァイン&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるドヴォルザークの交響曲第8番(1990年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

レヴァインとSKDとドヴォルザーク。なんとも珍しい組合せであります。レヴァインがSKDとセッション録音に臨んだのも、当盤だけでありましょう。しかしながらこれが、なんとも素敵な演奏となっているのであります。
ここでの演奏を特徴あるものにしているのは、SKDの響きに依るところが大きいのではないでしょうか。贅肉のない引き締まった音で、清潔感に溢れた音楽が鳴り響いている。しかも、決して派手ではないのですが、煌びやかな華麗さがある。眩いほどの絢爛さが備わってもいる。
そのようなSKDを、レヴァインは逞しくドライヴしてゆくのであります。音楽がキビキビと躍動していて、推進力に満ちている。とてもエネルギッシュで、ドラマティックでもある。
そのうえで、引き締まった響きのSKDから、或る種の豊満さを引き出している。演奏全体が潤いを持っている。歌心に溢れてもいる。
その結果、ピュアな美しさを湛えていつつ、生気に溢れた音楽が奏で上げられてゆくこととなっています。
なによりも、とても格調が高い演奏でありつつ、明朗にして屈託のない音楽が鳴り響いているところが、この作品には誠に相応しくて好ましい。

レヴァインとSKDのそれぞれの美質が、相乗効果を生んでいる演奏。このコンビ、もっともっと多くの録音を遺してくれなかったということが、なんとも残念でなりません。
(と言いつつも、このドヴォルザークを遺してくれているということに、満足するべきなのかもしれません。)
いやはや、これはもう、身震いするほどに魅力的な演奏であります。