コリン・デイヴィス&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるモーツァルトの交響曲第39番を聴いて
コリン・デイヴィス&シュターツカペレ・ドレスデン(SKD)によるモーツァルトの交響曲第39番(1981年録音)を聴いてみました。
キリリとしていて、格調高い雰囲気に包まれた、高潔な演奏となっています。
まずもって、ここでもSKDの響きが素晴らしく美しい。典雅と言っても良いでしょう。単に耳に心地よいだけでなく、魂が洗われるように高貴で、心に沁み入るような天国的な響きとなっている。
この交響曲は、モーツァルトの作品の中でもとりわけ優美な音楽になっていると考えています。調和の取れた、美しい音楽世界が広がっている。その様は、ラファエッロによる絵画に共通したものがあると思えてならない。
そのような美しさが、あますところなく描き出されていると言いたい。しかも、なんの誇張もなく。
その絶美とも言えるオケを司るデイヴィスの指揮ぶりがまた見事。キリリと引き締まった音楽を展開しながらも、ふくよかさやおおらかさも併せ持っている。小気味良さを持たせつつ、柔らくもある。モーツァルトの音楽に必要不可欠な愉悦感にも満ちている。それでいて、「大人の」憂いのようなものも感じさせられる。そんなこんなによって、奥行き感のある音楽が鳴り響くこととなっています。
しかも、この作品ならではの明朗さも十分。はしゃぎすぎることのない範囲で、生気に溢れた音楽が奏で上げられている。
逞しい生命力が宿っていて、かつ、凛としている演奏。不純なものが一切含まれていない、ピュアな美しさを湛えている。そのうえで、おおらかでありつつも、力感も充分。
なんとも立派な、そして、実にチャーミングな演奏であります。