スウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデンによるヒンデミットの≪ウェーバーの主題による交響的変容≫を聴いて

スウィトナー&シュターツカペレ・ドレスデンによるヒンデミットの≪ウェーバーの主題による交響的変容≫(1967年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

このコンビならではの、端正にして、気品に満ちた演奏となっています。
それでいて、十分にエネルギッシュで、ドラマティックでもある。とは言いましても、力で押し切ったり、粗暴になったり、或いはエキセントリックになったり、といったことはありません。音楽のフォルムが崩れるようなことも皆無。キリっとした表情をしている。理知的でもある。その辺りの剛柔のバランスが絶妙だと言えよう。
そのうえで、活力に溢れていて、逞しい音楽が奏で上げられている。十分に律動的でもある。ヒンデミットならではのシリアスな感興にも不足はなく、それでいて、過度にストイックになるようなこともない。伸びやかにして、艶やかな演奏が繰り広げられています。ピュアな美しさに満ちているとも言いたい。見通しが頗る良くもある。そして、清潔感に溢れている。
そのような演奏ぶりを通じて、この作品が実にチャーミングに鳴り響いている。

他の演奏からは得難い魅力を備えている、なんとも見事なヒンデミット演奏となっています。
ひょっとしますと、ヒンデミットの作品を不得手にしているリスナーにもスッと受け入れられる演奏になっていると言えるのではないでしょうか。
そんな、素敵な素敵な演奏であります。