ワイセンベルク&小澤さん&パリ管によるラヴェルのピアノ協奏曲とプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を聴いて
ワイセンベルク&小澤さん&パリ管によるラヴェルのピアノ協奏曲とプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番(1970年録音)を聴いてみました。
録音当時、ワイセンベルクは41歳、小澤さんは35歳。
両者が「若手」と呼ばれていた時期の記録となりますが、若々しい感性や、旺盛でかつ率直な表現意欲や、といったようなものが溢れ出ている演奏だと言いたい。
それはもう、切れ味抜群な演奏が繰り広げられています。目鼻立ちがクッキリとしていて、誠に鮮烈な音楽が鳴り響いている。
しかも、色彩が実に豊か。音がキラキラと煌めいています。この辺りは、パリ管による貢献が大だと言えるのではないでしょうか。
更に言えば、胸のすくような鮮やかさがあります。それはもう、痛快なまでに。リズム感が抜群で、疾走感に溢れている。敏捷性の頗る高い演奏になっているとも言いたい。そういった印象は、特にプロコフィエフにおいて強い。
なるほど、アクロバティックな雰囲気が漂っていると言うべきなのかもしれませんが、それが嫌みに感じられないのは、ワイセンベルクと小澤さんの音楽性の賜物なのでありましょう。
しかも、洗練味が感じられもする。そう、土俗性のようなものは一切感じられないのであります。晴朗であり、スカッとした爽快さが感じられる。
そんなこんなのうえで、ラヴェルでは、ウィットに満ちていて、お洒落な感覚に溢れた音楽が鳴り響いている。プロコフィエフでは、シニカルな味わいが巧まざる形で描き出されている。
いやはや、なんとも見事な演奏であります。快演だとも言えましょう。
両曲の魅力を堪能することのできる、素敵な素敵な演奏であります。