レヴァイン&シカゴ響によるマーラーの交響曲第4番を聴いて

レヴァイン&シカゴ響によるマーラーの交響曲第4番(1974年録音)を聴きいてみました。ソプラノ独唱はブレゲン。
レヴァインが31歳だったときの記録で、マーラーシリーズの第1弾となった録音でもあります。

伸びやかで、歌心に溢れていて、如何にもこの作品に相応しい幸福感に包まれた、チャーミングな演奏となっています。そして、明快で、とっても聴きやすい。この作品の音楽世界にス~っと入っていける演奏が展開されています。
基本的には、明るくて屈託のないマーラー演奏なのですが、緩徐楽章である第3楽章では、メランコリックな表情を見せてもくれています。しかも、真ん中のやや過ぎた箇所では、疾走感に満ちた音楽が展開されている。その辺りは、オペラ指揮者としてのキャリアが(レヴァインは、1971年にはメトロポリタン歌劇場の指揮台に立ち、1975年から同歌劇場の音楽監督を務めることとなる)ものを言っているのでしょうか。ストーリーテラーとして数多くの引き出しを持っている、柔軟性の高いレヴァインの真骨頂が示されていると言えそう。
最終楽章では、ただ単に天国的な美しさの表出に固執するだけではなく、こちらでもまた、適度な疾走感を持たせている。鮮烈でもある。それゆえに、目くるめく音楽が奏でられながら、この交響曲が締めくくられることとなっています。見事な手腕だと言えましょう。
機能性抜群のシカゴ響が、まろやかで艶やかな響きで応えてくれている。ふくよかな音が鳴り響いてもいる。その辺りがまた、なんとも魅力的であります。
しかも、第1楽章の終わり間近の箇所や、第2楽章で広範囲にわたって繰り広げられるホルンのソロ(クレヴェンジャーが吹いているのでしょうか)をはじめとして、腕利きの奏者たちによる卓越したソロには、惚れ惚れするばかり。
そのうえで、巧緻なアンサンブルが披露されています。
ソプラノ独唱のブレゲンは、愛らしさに溢れた歌いぶり。屈託がなくて、伸びやかでもある。それがまた、曲想に見事にマッチしています。

その作品の魅力がストレートに伝わってくる、しかも、奥行きの深さが感じられもする、素晴らしい演奏であります。