プレートル&パリ音楽院管によるサン=サーンスの≪動物の謝肉祭≫を聴いて

プレートル&パリ音楽院管によるサン=サーンスの≪動物の謝肉祭≫(1965年録音)を聴いてみました。

いやはや、痛快な演奏であります。
もうキレッキレで、煌びやか。豪壮でもある。しかも、洒脱な雰囲気にも事欠かない。まさにプレートル色に満ち溢れた世界が広がっています。
ここにあるは、こじんまりとした動物園などではなく、壮大な敷地を有する大動物園。しかも全ての動物たちは各々の人生を謳歌している、といった風情が感じられます。
しかも、プレートルらしい直截的で溌剌とした音楽づくりの素晴らしさもさることながら、パリ音楽院管の色彩的かつ薫り高くて、洒脱な響きの魅力に惹かれます。このオケによる同曲のセッション録音は、これが唯一のものなのではないでしょうか。その意味でも、とても貴重な録音だと言えそう。
そのうえ、クレジットされているソリストがまた、錚々たる顔ぶれなのです。ピアノはチッコリーニにワイセンベルク、フルートにはデボスト(彼はパリ音楽院管の首席奏者)の名前が表記されている。「大きな鳥かご」でのデボストの妙技なんて、惚れ惚れするものでありました。また、チッコリーニとワイセンベルクによる切れ味鋭いピアノも、見事。
更に言えば、全体を通じて、豪壮な演奏ぶりが示されていながらも決して荒々しものにはなっていません。精妙な音楽が鳴り響いている。十分にエレガントでもある。≪動物の謝肉祭≫が、フランス人作曲家の手による作品であったことを、改めて認識させられる演奏だと言いたくなる。

この作品の魅力を存分に味わうことのできる演奏。そして、聴いていてワクワクしてくる演奏。
なんとも素敵な演奏であります。