カラヤン&ベルリン・フィルによるホルストの≪惑星≫を聴いて

カラヤン&ベルリン・フィルによるホルストの≪惑星≫(1981年録音)を聴いてみました。

豪華絢爛たる演奏であります。ゴージャスにして、ブリリアント。オーケストラ音楽を聴く歓びを心行くまで味わうことのできる演奏となっています。
それにしましても、実に美しい。磨き上げが丹念で、肌触りが滑らか。そして、頗る輝かしくて、音楽全体から光沢が放たれているような演奏となっている。
更に言えば、とてもドラマティックな演奏となっています。重厚感タップリでもある。そういったことは冒頭の「火星」からして当てはまり、絶大な威力を持ちながら、押し出しの強い音楽が掻き鳴らされてゆく姿は、壮観だと言えましょう。
その一方で、「金星」や「土星」では、デリカシーに溢れた音楽が奏で上げられています。音色の移ろいが細やかで、繊細にして緻密な音楽となっている。
そう、ドラマティックにして、リリカル。そして、全曲を通じて、頗る濃厚な味付けの施されている演奏となっている。
また、「水星」などでは、十分に軽妙でありつつも、羽毛のような軽やかさを持っているというよりは、まろやかで潤いのある質感をしている辺りにも、カラヤン&ベルリン・フィルというコンビの特質が感じ取れます。

全体的に、「味付け」の絶妙な演奏だと言えましょう。
更に言えば、もともとが豪壮でドラマ性に富んだ作品であり、かつ、彩りの鮮やか曲であるだけに、このような演奏で聴き進むことによって、大いになる「歓び」が込み上げてきます。
これはもう、有無を言わさずに聴き手を惹きつけてゆくような魅力を備えている、なんとも素敵な演奏であります。