イザベル・ファウスト&フルシャ&バイエルン放送響によるブリテンのヴァイオリン協奏曲を聴いて

イザベル・ファウスト&フルシャ&バイエルン放送響によるブリテンのヴァイオリン協奏曲(2021年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

I・ファウストならではの、凛々しくて、かつ、シャープな感覚に包まれている演奏となっています。ピンと張り詰めた緊張感が漂っている。精妙であり、冴え冴えとした音楽が奏で上げられている。研ぎ澄まされた感性に裏打ちされた演奏だと言えそうで、とても理知的でもある。
なるほど、クールな演奏ぶりとなっているのですが、寒々としている訳ではありません。情熱の迸りを、そこここで感じ取ることができる。それでいて、音楽のフォルムが崩れるようなことは微塵もない。音楽が混濁するようなこともない。端然としていて、かつ、澄明な音楽が鳴り響いている。ストイックな演奏ぶりでありつつも、伸びやかさが備わってもいる。
しかも、頗る真摯な演奏が展開されている。そのために、なんともシリアスな音楽が鳴り響いている。
そのようなファウストをサポートしているフルシャもまた、端正にして、生き生きとした音楽を奏で上げてくれています。とても率直な音楽づくりが為されてもいる。そのような演奏ぶりが、ファウストの共演者として誠に相応しいように思える。

I・ファウストの美質がギッシリと詰まっている演奏。そのうえで、この作品の魅力を堪能できる演奏となっている。
実に立派な、そして、頗る魅力的な演奏であります。