ブーレーズ&シカゴ響によるスクリャービンの≪法悦の詩≫を聴いて

ブーレーズ&シカゴ響によるスクリャービンの≪法悦の詩≫(1995年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

なんと艶っぽい音楽なのでしょう。色彩感に満ちています。そして、音楽が至る所で煌びやかに明滅している。
しかも、音楽をジックリと鳴らし切っている。遅めのテンポが採られていて、隈取りが実に鮮やか。ブーレーズらしい明晰さを備えた演奏が繰り広げられています。凝縮度が高くもある。
そのうえで、充分に煽情的であります。音楽がドラマティックに躍動していて、存分にうねっている。
そのようなブーレーズの音楽づくりに対して、シカゴ響が精緻な合奏で応えてくれています。ハーセスによるトランペットソロも、頗る流暢で、力強く、輝かしい。

作品と演奏家とが幸せな出会いをした、素敵な演奏。そんなふうに言えるのではないでしょうか。