嵐山燈籠流しと京都五山の送り火、そして、ヨッフム&バイエルン放送響によるモーツァルトの≪戴冠式ミサ≫を聴いて

今日は、嵐山灯篭流しと京都五山の送り火の執り行われる日。ともに、お盆の間、我が家で過ごした先祖の霊が、迷わずにあの世へ戻れることができるように、との願いを込めた儀式になります。
19時から行われる灯篭流しを観に渡月橋の畔へ行き、その後は自宅に戻って、マンションの上層階に登って五山の送り火のうちの「大」と「鳥居型」を仰ぎ見てきました。

さて、ここからは、今日聴きました音楽について。
聴きましたのは、ヨッフム&バイエルン放送響によるモーツァルトの≪戴冠式ミサ≫(1976年録音)。独唱陣は、モーザー(S)、ハマリ(MS)、ゲッダ(T)、F=ディースカウ(Br)、という布陣になります。

明朗で、暖かみに包まれた演奏が展開されています。
柔和で、慈愛に満ち、包容力に溢れている。そのうえで、折り目正しく、健やかで、均整の取れた音楽が鳴り響いています。そう、とても壮健な音楽が奏で上げられている。そして、ドッシリと構えた演奏ぶりが示されてもいる。
それでいて、溌溂としていて、伸びやかで、晴れやかでもあります。過剰にはしゃぎ回るようなことはないものの、生彩感に富んでいて、快活で、祝祭的な華やかさにも不足はない。
そのようなヨッフムの音楽づくりに包まれながら、独唱陣が実に清らかな歌を披露してくれています。総じて暖かみがあって、実直な歌となってもいる。中でも特に、ソプラノのモーザーの歌唱の清らかで伸びやかな歌いぶりに、耳を奪われます。

なにもかもが自然であり、かつ、生き生きとしている。そして、暖かくて豊かな息遣いが感じられる演奏。
このミサ曲の音楽世界に安心して身を浸すことのできる、素敵な素敵な演奏であります。