ドゥネーヴ&シュトゥットガルト放送響によるオネゲルの交響曲第3番≪典礼風≫を聴いて

ドゥネーヴ&シュトゥットガルト放送響によるオネゲルの交響曲第3番≪典礼風≫(2012年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

鋭敏な演奏が展開されています。それは、とても今風でもある。そう、シャープでキレのある演奏となっている。明晰で精緻で、クッキリとしたいでたちをしている。
しかも、頗るエネルギッシュでもある。第1楽章では、至る所で咆哮している。それは、阿鼻叫喚とした音楽だとも言えそう。苦悩が滲み出ている。その演奏ぶりはまさに、「怒りの日」を描いた音楽に相応しい。
それでいて、第2楽章は、慰めに満ちた音楽が鳴り響いています。と言いつつも、中間部などでは、高揚感の高い演奏が繰り広げられている。
最終楽章では、推進力(突進力と言ったほうが良いかもしれません)の極めて強い演奏が展開されている。
そんなこんなのうえで、フランス的な「薫り」も感じられるところがまた、なんとも魅力的。決して粗暴な演奏となっている訳ではなく、エレガントな佇まいをしている。

実に見事であり、立派であり、しかも作品の魅力を存分に味わうことのできる演奏。そんなふうに言えようかと思います。