オーマンディ&フィラデルフィア管によるシベリウスの交響曲第5番を聴いて
オーマンディ&フィラデルフィア管によるシベリウスの交響曲第5番(1975年録音)を聴いてみました。
オーマンディ(1899-1985)は、シベリウスの作品を積極的に採り上げ、その普及に尽力した指揮者の一人。シベリウス本人からも、演奏の素晴らしさを評価されていました。
そんなオーマンディが70代後半に差し掛かった時期にセッション録音した、ここでの演奏はと言いますと。
やや遅めのテンポを採りながら、ジックリと語りかけてゆくような演奏となっています。そして、風格豊かである。そんなこんなによって、この作品に相応しい壮麗な音楽世界が広がっている。
それでいて、歩みが重いことはない。むしろ、滑らかに音楽は進められてゆく。明るい色調に彩られた演奏だと言えましょう。屈託の無い演奏だとも言えそう。
そのうえで、スケールの大きな演奏となっている。ある種の骨太感があり、逞しい生命力が漲っている。この作品が本来持っている質感を、クッキリと表出してくれています。しかも、耳に心地よい響きを伴って。
あれこれ考えずに、素直にドップリと身を浸して、シベリウスが遺してくれた佳品の魅力を堪能することのできる、素敵な演奏であります。