ネーメ・ヤルヴィ&デトロイト響によるルーセルの交響曲第3番を聴いて
ネーメ・ヤルヴィ&デトロイト響によるルーセルの交響曲第3番(1991年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
頗る鮮やかで、克明な演奏となっています。
輪郭線が明瞭で、音の粒立ちが鮮やか。全体的に、実にクッキリとした出で立ちをしている。
しかも、力感に溢れている。そう、逞しい生命力に満ちた演奏が繰り広げられているのであります。骨太な音楽づくりで、ズッシリとした手応えを持った演奏となっている。ルーセルの音楽が持っている躍動感や、ある種の「凶暴さ」もシッカリと表されている。それでいて、磨き上げが丹念であり、単に力づくなだけの演奏とはなっていない。純音楽的な美しさが漂っている。
更に言えば、大袈裟な表情は全く見られずに、音楽の流れは頗る自然。そのうえで、鮮明であり、かつ、豊かな息吹が感じられる演奏となっている。
ネーメの演奏の多くから感じられること、それは、演奏から音楽センスの豊かさが滲み出てくるということ。そして、やるべきことをキッチリとやり尽くしていて、作品像がクッキリと浮かび上がってくる、ということ。
ネーメのレパートリーは極めて広範ですが、フランス音楽は比較的珍しい部類に入ると言えましょう。しかしながら、ここでのルーセルもまた、上で述べた美質をシッカリと感じ取ることのできるものとなっている。
なんとも見事な、そして、素敵なルーセル演奏であります。