セレブリエール&ローマRAI響によるボロディンの交響曲第2番を聴いて
セレブリエール&ローマRAI響によるボロディンの交響曲全集から第2番(1989年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
ウルグアイ生まれのセレブリエール(1938-)は、グラズノフの交響曲全集を完成させていますが、ボロディンについても3曲の交響曲を全て録音している(しかも、それが1枚のCDに収められている)のは、なんとも有難い。
当盤は、セレブリエールが51歳になる年に制作されたものになります。
さて、このボロディンの第2番では、この作品に相応しいエネルギッシュな演奏が繰り広げられています。十分に豪壮で、力強くもある。
その一方で、色彩感に富んでいて、洗練味が感じられもします。磨き上げが丹念で、響きが美しい。
であるが故に、ただ単に骨太で逞しくて、力で押し切る、といったボロディン演奏にはなっていません。野趣あふれる音楽が鳴り響くというよりも、垢ぬけた感じがする。頗る端正でもある。そのうえで、例えば、緩徐楽章となる第3楽章において顕著なように、ノスタルジックな感興にも不足はない。
と言いつつも、決して慎ましやかな演奏となっている訳ではなく、推進力も充分。とりわけ最終楽章では、躍動感に満ちていて、歓びに溢れた演奏が展開されている。
多面的な魅力を宿していると言えそうな、素敵なボロディン演奏であります。