エストラーダ&ヒューストン響によるドヴォルザークの交響曲第7番を聴いて

エストラーダ&ヒューストン響によるドヴォルザークの交響曲第7番(2014年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に所蔵されている音源での鑑賞になります。

エストラーダは、1977年にコロンビアで生まれ、ウィーンで音楽を学んだ指揮者。最近は、ウィーン・フィルの指揮台にも頻繁に登っています。
2009-15にウィーン・トーンキュスラー管の首席指揮者を務め(後任は、佐渡裕さん)、2014年からヒューストン響とフランクフルトのhr響のシェフを兼任し、2020年から2シーズンはウィーン響のシェフも務めています。

当盤は、ヒューストン響のシェフに就任した年の収録。エストラーダが37歳のときの演奏となります。
若手だということもあって、威勢が良くて、先鋭な演奏が展開されるのかと思いきや、ドッシリと構えながらの、ふくよかさを帯びた演奏となっています。
それでいて、音楽は存分にうねっていて、逞しい。やや遅めのテンポを基調としながら進められていて、煽情的な音楽づくりに走るようなことはないのですが、充分にエネルギッシュでドラマティックであります。なによりも、息遣いがとても豊か。そして伸びやか。例えば、緩徐楽章である第2楽章では、優美で、抒情性に満ちた音楽世界を描き上げつつも、作品の内側からフツフツと情感が込み上げてきて、切々たる音楽が奏で上げられている。そのうえで、壮麗でもある。急速楽章では、力感が充分で、情熱的な演奏が繰り広げられてゆく。
しかも、演奏全体が、キリッとした表情を湛えている。ふくよかでありつつも、輪郭線はクッキリとしている。この辺りは、いかにも今風だと言えましょう。しかしながら、今風の演奏でしばしば見受けられるようなエキセントリックな演奏にはなっていないのは、私にとっては、誠に好ましい。

総じて、知情のバランスに優れている演奏ぶりであると言いたい。
エストラーダ、素晴らしい才能を持っている、素敵な指揮者であります。