アルゲリッチ&フレイレとジンマン&コンセルトヘボウ管によるバルトークの≪2台のピアノ、打楽器と管弦楽のための協奏曲≫を聴いて
アルゲリッチ&フレイレとジンマン&コンセルトヘボウ管によるバルトークの≪2台のピアノ、打楽器と管弦楽のための協奏曲≫(1985年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
この時期(1980年代の前半辺り)、アルゲリッチが2台のピアノのための作品をフィリップスレーベルに録音する際に、たびたび相棒を務めていたフレイレ。このコンビによる録音は、有名曲では例えば、ラヴェルの≪ラ・ヴァルス≫の2台ピアノ版や、サン=サーンスの≪動物の謝肉祭≫などが残っています。
フレイレは、強靭な打鍵を持つピアニストだと言えましょう。パッショネートな性格の持ち主だとも言えそう。そのようなこともあってのペアリングだったのではないでしょうか。
さて、ここでの演奏でも、そんな2人の相性の良さが出ていると思います。ここで2人が奏で上げている音楽は、とても切れ味が鋭いものとなっている。ピンの張り詰めた緊張感が漂っている。敏捷性を帯びてもいる。そのうえで、ある種、冷酷な演奏になっているとも言えそう。
そのような演奏ぶりが、バルトークの作品において、とても適しているように思えます。
とりわけ、最終楽章での躍動感や、熱気を帯びた演奏ぶりは、とてもスリリングでもある。
しかも、丹念にして、精妙な演奏が繰り広げられている。そのことによって、最終楽章での演奏も、決して野放図なものにはなっていない。
そのような2人に対して、ジンマンもまた、頗る機敏な反応を示していると言えましょう。端正でいて、生命力に溢れた演奏ぶりだとも言いたい。
そこに加わるコンセルトヘボウ管の芳醇な響きがまた、この演奏をより一層魅力的なものにしてくれています。打楽器群には切れ味が感じられもする。
あまり話題に上ることのない演奏だと言えるかもしれませんが、アルゲリッチ&フレイレのコンビの素晴らしさと、この作品の魅力とを存分に味わうことのできる、素敵な演奏であります。