ミンコフスキ&ルーヴル宮音楽隊によるハイドンのザロモンセットから≪太鼓連打≫と≪ロンドン≫を聴いて

ミンコフスキ&ルーヴル宮音楽隊によるハイドンのザロモンセットから太鼓連打ロンドン2009年録音)を聴いてみました。
NML
(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

溌剌としていて、喜びに溢れた演奏となっています。新鮮味にも満ちてもいる。
屈託がなくて、晴朗で、伸びやかで、生き生きとした表情を湛えている。音楽がキビキビと躍動していて、至る所で音楽が弾けてもいる。そのために、聴いていて、清々しい気持ちに浸れるとともに、心がウキウキとしてきます。
そう、とても痛快な演奏だと思うのです。しかも、頗る真摯な姿勢が感じられる。そして、人懐っこさが感じられもする。更には、茶目っ気が感じられもする。≪太鼓連打≫の冒頭(更には、第1楽章のコーダに入る直前でも)で奏でられるティンパニの連打を、リズミカルなパッセージとして叩かせるなど、愉快なアイディアが散りばめられていたりもする。
そのうえで、ハイドンの後期の交響曲に相応しい安定感と言いましょうか構成感の確かと言いましょうか、そういったものをシッカリと感じさせてくれます。それは特に、≪ロンドン≫において顕著に感じられる。
なるほど、両曲ともに全体的に速めのテンポが採られていて、疾駆感に溢れた演奏が展開されています。それでいて、弾き飛ばすような風情は全く見受けられずに、ドッシリとした手応えが備わっている。それは、この2曲が元から宿している「生命」ゆえなのでありましょうが、そのような活力をシッカリと引き出してくれているところが、なんとも尊いことだと言いたい。
また、古楽器ならではの、清新な響きにも大いに惹かれます。管楽器の鄙びた音色(特にオーボエ)も、なかなかチャーミング。

多彩な魅力を宿している、素敵な素敵なハイドン演奏であります