ミュンシュ&ボストン響によるプーランクの≪オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲≫を聴いて

ミュンシュ&ボストン響によるプーランクの≪オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲≫(1960年録音)を聴いてみました。
独奏者はザムコヒアン(オルガン)とファース(ティンパニ)。ザムコヒアンは、1957年にボストン響の専属オルガニストに就任しており、ミュンシュ&ボストン響によるサン=サーンスの≪オルガン付き≫の録音にも加わっています。ファースは小澤征爾さんの時代までボストン響に在籍をしており、初期のサイトウ・キネンにも参加をしていました。

さて、プーランクと言えば、お茶目で悪戯っぽくて、瀟洒でウィットに溢れていながら、シリアスかつ敬虔な側面も併せ持っているという、多面的な作風が独特であると思えるのですが、この作品は、ひたすらにシリアスな表情で貫かれています。そう、プーランクの作品にしては珍しく、おどけた姿を見出すことはできず、激流の中に身を置きながら、ひらすらに敬虔な音楽が奏で上げられていく作品となっている。
ここでのミュンシュらによる演奏は、推進力に富んでいて、情熱に満ち溢れています。実にスリリングな演奏となっている。
そのうえで、曖昧さは一切感じられない。エッジの効いた音楽づくりが繰り広げられていいて、粒立ちが鮮やか。剛毅な雰囲気が漂っていて、かつ、いい意味で凶暴でもある。そのような性格が、この作品には誠に相応しい。

作品の素晴らしさを痛感させられる、大きな説得力を持った演奏であります。