オーマンディ&フィラデルフィア管によるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫を聴いて

オーマンディ&フィラデルフィア管によるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫(1963年録音)を聴いてみました。

このコンビならではの、絢爛豪華で華麗な演奏が繰り広げられています。そのことが、R・シュトラウスの音楽を聴く歓びと直結しているとも言えましょう。
まずもって、響きが実にカラフルで華やかで煌びやか。しかも、オケの技巧が頗る高い。それは、個々の技術においても、アンサンブルの精度においても当てはまる。そのようなこともあり、全体的にゴージャスにして手触りの滑らかさが感じられる演奏となっています。
それでいて、必要以上にケバケバしいものにはなっていません。もちろん、総体的に言えば派手さが目を引く演奏ではあるのですが、そのような方向のみで勝負しているようには思えないのです。すなわち、羽目を外した音楽にはなっていない。浮ついた音楽にもなっていない。更に言えば、しっかりとした構築性が感じられる。原色系のサウンドがしているというよりも、まろやかさが感じられる響きに包まれている。

オーケストラ音楽を聴く醍醐味を堪能することのできる演奏。しかも、内容のぎっしりと詰まっている演奏が展開されている。
見事な、そして、素敵な演奏であります。