ドラティ&フィルハーモニア・フンガリカによるハイドンの≪朝≫≪昼≫≪晩≫を聴いて
ドラティ&フィルハーモニア・フンガリカによるハイドンの≪朝≫≪昼≫≪晩≫(1972年録音)を聴いてみました。
ハイドンの交響曲全集を初めて完成させるという金字塔を打ち立てたドラティ。当盤は、その中の1枚になります。
なお、ここでの3曲は交響曲の第6,7,8番にあたり、ハイドン(1732-1809)が29歳のときに書き上げた三部作になります。
さて、その演奏はと言いますと、明朗にして明快、そして、溌剌としたものとなっています。
音楽全体が存分に弾けています。そこここで、嬉々とした表情をしている。それがまた、この三部作での音楽世界にピッタリ。そのようなこともあって、聴いていて爽快な気分に浸ることができる。
しかも、輪郭線がキッチリとしていて、曖昧なところは皆無。切れ味があって、克明な演奏が展開されています。そこには、毅然とした姿勢のようなものが見受けられもする。この辺りは、いかにもドラティらしいところだと言えましょう。
その一方で、伸びやかさや、しなやかさも十分。誠に率直であって、キリっとしていて、なおかつ、自然な息遣いをした音楽が鳴り響いている。そして、頗る端正でもある。
真っすぐな音楽づくりをベースにしながらの決然としている雰囲気と、颯爽とした雰囲気とが同居している演奏ぶり。そのうえで、屈託が無くて、愉悦感に満ち溢れている。ハイドンならではの親しみやすさにも不足はない。
このチャーミングな三部作の音楽世界を存分に楽しむことのできる、なんとも素敵な演奏であります。