ティルソン=トーマス&サンフランシスコ響によるマーラーの交響曲第7番≪夜の歌≫を聴いて
ティルソン=トーマス&サンフランシスコ響によるマーラーの交響曲第7番≪夜の歌≫(2005年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
清々しさを覚えるマーラー演奏となっています。
ドロドロとした情念が渦巻いているような音楽というよりも、スッキリとした、清新な音楽が鳴り響いています。もっと言えば、多感な音楽になっているとも言えそう。傷心や、憂いや、儚さや、といったものも漂ってくるかのよう。
とは言いながらも、全体的に抑制の効いている演奏だと言えましょう。整然とした音楽が鳴り響いている。そうであるだけに、聴いていてスリリングを覚えるということはありません。その代りに、細部まで丹念に磨き上げられている演奏となっている。響きには清潔さが感じられもする。明瞭にして、分離の良い演奏だとも言えそう。
しかも、決してひ弱な音楽になっている訳ではありません。音楽はシッカリと躍動していて、快活でもある。十分にうねっていて、ドラマティックでもある。重くなるようなことは一切ないものの、ズシリとした手応えを備えている。そして、大袈裟な表現はこれっぽっちもないものの、格調の高さを伴った豊麗さと呼べそうなものが感じられもする。
聴いていて、あまり鬱屈とした気分になるようなことはなく、晴れやかな気分にさせてくれるマーラーの7番。とても見通しが良くて、かつ、清涼感を備えている演奏となっている。
独特の魅力を持っている、素敵なマーラーの7番であります。