オーマンディ&フィラデルフィア管によるガーシュインの≪パリのアメリカ人≫と≪ラプソディ・イン・ブルー≫を聴いて

オーマンディ&フィラデルフィア管によるガーシュインの≪パリのアメリカ人≫と≪ラプソディ・イン・ブルー≫(1967年録音)を聴いてみました。
後者のピアノ独奏はアントルモン。

なんとも美麗な演奏であります。艶やかさを持っている演奏だとも言えそう。
この演奏には、ガーシュインの音楽に求めがちな「キレッキレなリズム感」という要素は薄い。その代りに、風格の豊かなガーシュイン演奏となっている。鋭さの代わりに、ふくよかさを帯びてもいる。全体を通じて暖色系のガーシュインとなっていて、このようなガーシュイン演奏は、このコンビ以外ではなかなか為し得ないものだと言えましょう。
それでいて、生真面目な演奏になっているのかと言えば、さにあらず。エンターテインメント性は非常に高い。しかも、フィラデルフィア管の名技を随所に聴くことができ、例えば、≪パリのアメリカ人≫の中間部分でのトランペットをはじめとして、流暢なソロを楽しむことができる。そのうえで、潤いがあって、かつ、煌びやかな響きに包まれたオーケストラ演奏が繰り広げられていて、聴いていてご機嫌になってきます。
アントルモンによるピアノからは、協奏曲的な恰幅の豊かさが漂ってきている。しかも、煌びやかでありつつも、コクの深さのようなものを備えたピアノとなっているのが、独特の魅力を醸し出しています。

味わい深さを秘めていつつ、ガーシュインを聴く愉しさを堪能することのできる演奏。
なんとも素敵な演奏であります。