ル・サージュ&エベーヌ弦楽四重奏団によるフォーレのピアノ五重奏曲第1,2番を聴いて
ル・サージュ&エベーヌ弦楽四重奏団によるフォーレのピアノ五重奏曲第1,2番(2010年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
清冽で率直な演奏。そんなふうに言えるように思えます。
繊細さと、激情とを兼ね備えているような演奏だとも言えそう。そのような印象を抱くのは、前者は主にル・サージュに、後者は主にエベーヌSQの演奏ぶりに依っているように思えます。更には、ル・サージュのピアノからは詩情の豊かさが、エベーヌSQの演奏ぶりには鋭敏さが感じられる。
清冽であること、繊細さと激情とを併せ持っていること、そして、詩情豊かであること、これらは、フォーレの作品が備えている性格の根幹を成しているものだと言えましょう。そう、ここでの演奏は、この2つのピアノ五重奏曲が持っている性格や音楽世界やを、クッキリと描き上げてくれたものになっていると思えてならないのであります。
そんなこんなのうえで、研ぎ澄まされた感覚に裏打ちされた、凛とした音楽が奏で上げられている。この演奏を聴いていると、「明鏡止水」という言葉が、自然と頭に浮かんできます。
フォーレの室内楽作品の魅力をジックリと味わうことのできる、素敵な演奏であります。