ベイヌム&コンセルトヘボウ管によるモーツァルトの≪ポスト・ホルン≫を聴いて
ベイヌム&コンセルトヘボウ管によるモーツァルトの≪ポスト・ホルン≫(1956年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
キビキビとした躍動感があって、しかも典雅な演奏となっています。
演奏全体が、キリッと引き締まっています。過度な感情移入も為されていたり、ロマンティックな感興に傾いたり、といったこともない。こういった点は、戦後間もないこの時期の演奏としては、希少なことだと言えましょう。音楽がダブついたりすることもない。これらについては、ある種、現代に繋がる感覚を備えた演奏ぶりとも言えそう。
そのうえで、必要十分な推進力を持っていて、音楽が生き生きと弾んでいる。音の粒立ちが鮮やかで、目鼻立ちがクッキリとしている。しかも、伸びやかで、息遣いが自然である。弾力味を帯びていて、まろやかでもある。そう、楷書風でいて、丸みが感じられるのであります。そして、節度ある「熱さ」を備えてもいる。
そんなこんなによって、明晰でありつつも、凛としていて、格調の高い音楽が奏で上げられることとなっている。
更には、セレナードというジャンルが持つ飛翔感や愉悦感も充分。
私の大好きな大好きな≪ポスト・ホルン≫の魅力を堪能することのできる、素敵な演奏であります。