ケルテス&バンベルク響によるベートーヴェンの交響曲第2番を聴いて

ケルテス&バンベルク響によるベートーヴェンの交響曲第2番(1960年頃の録音)を聴いてみました。

これは、ケルテスが、DECCAにウィーン・フィルとの≪新世界より≫を録音したのとほぼ同時期のもの。当時31歳であったケルテスによる、数少ないベートーヴェン録音の一つになります。ケルテスによるベートーヴェンが、如何に素晴らしいものであったのかを垣間見ることのできる、貴重な録音だと言えましょう。
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さて、ここでの第2番の演奏でありますが、誠実さに溢れたものとなっています。はったりのない、実直な演奏。
しかも、響きは充実を極めている。そして、輝かしくもある。そう、じっくりとした歩調によって音楽は進められていつつも、音楽は弾力性を帯びていて、覇気に満ちていて、生き生きとした表情を湛えているのであります。この作品に相応しい伸びやかさやしなやかさも充分。
このような演奏に触れると、ベートーヴェンを積極的に録音してくれる前に、43歳で不慮の事故によってこの世を去ったことが残念でなりません。その一方で、ケルテスの録音活動の最初期に、このような素晴らしい第2番の演奏を遺してくれていたことに、大きな感謝を抱かずにはおれません。
なお、日本フィルとの第7番の映像も残されていて、「動くケルテス」を確認しながら、ケルテスの指揮ぶりが如何なるものだったのかを見て取れる、とても貴重な記録となっています。このような指揮をしていたからこそ、このような音楽を鳴り響かせることができていたのだという、「ケルテスの音楽づくりの秘密」を読み解くことができるような映像でもあります。演奏もまた、バンベルク響との第2番と同様に、実直でいて覇気に満ちている、実に素敵なものでありました。

ケルテスによるベートーヴェン、数は少ないですが、逸品揃いだと思っています。お薦めです。