ラトル&バーミンガム市響によるシベリウスの交響曲第6番を聴いて

ラトル&バーミンガム市響によるシベリウスの交響曲第6番(1986年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

ラトル&バーミンガム市響のコンビは、1981-1987年にかけてシベリウスの交響曲全集を完成させています。当盤はそのうちの1枚。この第6番は、ラトルが31歳になる年に録音されたものになります。
なお、ラトルは2014,15年にベルリン・フィルともシベリウスの交響曲全集を制作しています。ラトルにとって、シベリウスはよほど思い入れの強い作曲家なのでありましょう。そこには、イギリス生まれの指揮者としての伝統を受け継いでいる、といった一面も窺えるように思えます。

さて、ここでの演奏はと言いますと、颯爽としたものになっています。ここでの演奏からは、飾り気の無い感情の発露、といったようなものも聴き取ることができる。瑞々しい感性に裏打ちされた演奏だとも言えそう。
ラトルは、1990年代から2010年くらいにかけて、音楽をこねくり回すような傾向が強かったように私には思えるのですが、ここでの演奏は、とてもストレートなものとなっていると言いたい。そのうえで、生気に満ちた演奏が展開されている。大袈裟なところはないものの、劇性に満ちてもいる。
更には、なんとも清々しい。そう、実に清冽な演奏が繰り広げられている。その様は、胸のすくようであります。
そのような演奏ぶりによって、この作品の音楽世界の中に、ス~っと入り込むことができる。そして、爽快な気分に浸ることができる。

若き日のラトルによる快演。そこには、ラトルの豊かな音楽性が、素直な形で反映されてもいる。
そんなふうに言いたくなる、なんとも素敵な演奏であります。