ムーティ&ニュー・フィルハーモニア管によるヴェルディの序曲集を聴いて

ムーティ&ニュー・フィルハーモニア管によるヴェルディの序曲集(1975-77年録音)を聴いてみました。
収録されているのは、下記の6つのオペラの序曲。
≪ナブッコ≫
≪ジャンヌ・ダルク≫
≪レニャーノの戦い≫
≪ルイザ・ミラー≫
≪シチリア島の夕べの祈り≫
≪運命の力≫

ムーティが30代の中頃に録音した当盤。ここには、強い推進力を持ちながら、燦然たる輝きを放っていて、なおかつ、エネルギーの放出の大きな演奏が刻まれている。そんなふうに言えようかと思います。そのような様相がまた、ヴェルディの音楽にはうってつけだと思えてならない。
音楽全体が異様なまでの熱気を帯びている。音楽が沸騰している、とも言いたくなります。まさに、「雄渾な演奏」が展開されている。また、そこに宿されているエネルギー量たるや、無尽蔵だとも言えそう。しかも、決して大袈裟になることなく、頗る毅然とした音楽が掻き鳴らされている。
更に言えば、音楽の内側から、途轍もない情熱がムクムクと湧き上がってきているかのよう。そして、しなやかに、弾力性を持って、キビキビとした運動が示されながら音楽は流れてゆく。いや、打ち鳴らされてゆく、と言ったほうが適切かもしれません。
そんなこんなによって、聴く者を(すなわち、私を)興奮の渦に巻き込んでゆく。

ドラマティックにして、バイタリティに溢れていて、歌心に満ちている演奏。ここには、ヴェルディを聴く歓びに溢れている。
Bravo, Muti!!