ガヴリーロフ&ムーティ&フィラデルフィア管によるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を聴いて

ガヴリーロフ&ムーティ&フィラデルフィア管によるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(1989年録音)を聴いてみました。

1955年生まれのガヴリーロフは、1974年のチャイコフスキーコンクールの覇者。
ムーティとは、コンクールの5年後の1979年、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を録音したときからのコンビ(そこでは、フィルハーモニア管を指揮していた)となっていて、相性はとても良さそう。
この録音の3年前の1986年には、ラフマニノフの協奏曲の第3番も録音しています。

さて、ここでのラフマニノフの第2番であります。
華麗なピアニズムに溢れた演奏が繰り広げられています。卓越した技巧を駆使しながら、バッサバッサと斬り込んでいくような演奏だとも言えそう。全編を通じて、非常に高いヴィルトゥオーゾ性が示されています。そして、強靭にして、毅然とした音楽が奏で上げられている。
聴いていて、胸のすく演奏。そんなふうに言えるように思えます。
しかも、詩情に溢れている。ドラマティックで、ロマンティシズムに満ちてもいる。大いに煽情的でありながらも、テンポを必要以上に速く採るようなことはなく、どっしりと構えた上で、気宇の雄大な演奏となってもいる。
そのようなガヴリーロフをサポートしているムーティ&フィラデルフィア管がまた、華麗でドラマティックで、色彩感に富んだ演奏で、ガヴリーロフのピアノに応えている。

このコンビならではの、豊麗で壮健で、カラフルな演奏。
音楽を聴く愉しみを心行くまで味わうことのできる、素敵な演奏であります。