鈴木雅明さん&タピオラ・シンフォニエッタによるストラヴィンスキーの≪プルチネルラ≫組曲を聴いて
鈴木雅明さん&タピオラ・シンフォニエッタによるストラヴィンスキーの≪プルチネルラ≫組曲(2015年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
タピオラ・シンフォニエッタは、1987年に創設されたフィンランドのオーケストラ。かつては、ヴァンスカが音楽監督を務めていたようです。
さて、ここでの演奏はと言いますと、キリっと引き締まったものとなっています。そして、凛々しくもある。
ペルゴレージなど18世紀のイタリアの作曲家が書いた作品を素材に用いながら編み上げられた当作品を、バッハ演奏の第一人者と目されつつ、バロック期の音楽を得意とする鈴木雅明さんが、典雅に、かつ、溌溂と奏で上げてくれています。
しかも、誠実味に溢れていながら、決して堅苦しいものにならずに、愉悦感に満ちている。そう、作品が嬉々として喜んでいる、といった感じ。なおかつ、暖かみを帯びてもいる。
そのうえで、目鼻立ちがクッキリとしていて、明快な音楽世界が広がっています。急速なナンバーではキビキビとした音楽が奏で上げられていて、ゆったりとしたテンポのナンバーでは「晴れやかな抒情味」といった情緒を湛えている。そのようなこともあって、とても明朗であり、快活な音楽が鳴り響いている。そういった空気感が、この作品の性格に実に相応しい。
鈴木雅明さん、昨年11月の京響との定期演奏会ではドヴォルザークの交響曲第6番で素敵な演奏を聞かせてくれましたが、バッハ以外の作品でも(しかも、19世紀から20世紀の作曲家の作品でも)素晴らしい演奏を繰り広げてくれることを示してくれている、と言えそうな当盤。そういった点も含めて、貴重な録音だと言えましょう。
多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい、素敵な音盤であります。