ドラティ&デトロイト響によるコープランドの≪エル・サロン・メヒコ≫と≪ロデオ≫組曲を聴いて
ドラティ&デトロイト響によるコープランドの≪エル・サロン・メヒコ≫と≪ロデオ≫組曲(1981年録音)を聴いてみました。
パキッとした感覚に包まれている、明快な演奏となっています。巧緻で明晰でもある。
贅肉を削ぎ落としたような音楽づくりで、派手さが全く感じられない。キリっと引き締まっていて、端正でもある。表情には誇張が見当たらない。そういった演奏ぶりは、硬派であるとも言えましょう。
そのようなこともあって、見通しがとても良い。スッキリとした音楽が鳴り響いています。音が飽和状態になるようなことはなく、純度の高い響きがしている。そして、晴れやかで清々しい。
その一方で、力感は充分で、エネルギッシュでもある。表情が生き生きとしている。聴き手を過剰に煽るようなことはないものの、音楽は必要十分に弾けています。それがまた、コープランドの作品に相応しい。
≪エル・サロン・メヒコ≫などでは、推進力に満ちた演奏が展開されている。とてもしなやかでもある。また、≪ロデオ≫の第2,3曲目などでは、抒情的な美しさが十分に感じられる演奏となっている。
決して「お祭り騒ぎ」にはならずに、単に力で押し切るようなこともしない、純粋な音楽美に包まれているコープランド演奏。そのうえで、生彩にも富んでいるコープランド演奏。
聴き応えの十分で、かつ、独自の魅力を湛えている、素敵な演奏であります。