サロネン&ロス・フィルによるルトスワフスキの≪管弦楽のための協奏曲≫を聴いて

サロネン&ロス・フィルによるルトスワフスキの≪管弦楽のための協奏曲≫(2006,07年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

サロネン&ロス・フィルのコンビは、1985年から2012年にかけて、ソニー・レーベルにルトスワフスキの交響曲全集を制作しています。サロネンにとってルトスワフスキは、深い愛着を抱いている作曲家の一人だと言えましょう。そして、当盤でも、素晴らしい演奏を聞かせてくれています。
さて、ここでの演奏はと言いますと、実にダイナミックなものとなっています。とても鮮烈でもある。
切れ味があり、明晰で精緻で、情熱的で、彫琢の深い演奏が繰り広げられている。それぞれの要素が突出せずに、バランスよく同居しているような音楽づくりがなされているように思えます。であるが故に、とても聴きやすくて、実に面白い。
輪郭線がクッキリとしていて、克明な音楽が奏で上げられている。カラッとしていつつ、それとは逆に、ふくよかさや潤いが感じられもする。響きがカラフルで生彩感に溢れている。なおかつ、音楽運びが快活でありつつ、細やかな情感が織り込まれてもいる。しかも、この作品に特徴的なリズミカルな性格が、余すところなく表出されている。
そのような特徴が、明朗さの上に成り立っているような演奏が繰り広げられている。

この作品の魅力を存分に味わうことのできる、素敵な演奏であります。