スクロヴァチェフスキ&ザール・ブリュッケン放送響によるブルックナーの交響曲第7番を聴いて
スクロヴァチェフスキ&ザール・ブリュッケン放送響によるブルックナーの交響曲第7番(1991年録音)を聴いてみました。
スクロヴァチェフスキとザール・ブリュッケン放送響のコンビは、1991年から2001年にかけてブルックナーの交響曲全集(この全集には、第0番や第00番も含まれていた)を完成させていますが、当盤は、その最初に録音されたものになります。
スクロヴァチェフスキらしい、スッキリと纏め上げながらの、端正な演奏となっています。しかも、とても清冽な音楽が奏で上げられている。
そのようなこともあって、ブルックナーならではの壮麗な音楽世界が屹立する、といったものにはなっていません。それよりももっと、スタティックなものだと言いたい。
そうであるが故にと言いましょうか、第2楽章では、殊更に敬虔な音楽が響き渡っています。滋味深いとも言えそう。
その一方で、後半の2つの楽章では、溌溂としていて、推進力に満ちた音楽が奏で上げられています。とは言いましても、決して激情的になるようなことはない。うねりながら音楽が進んでゆくというよりも、規則正しい律動を伴いながら進行してゆく、といった感じ。この辺りも、スクロヴァチェフスキらしいところだと言えましょう。
そんなこんなのうえで、全編を通じて、スクロヴァチェフスキならではの、気骨さが感じられる、質実な演奏となっている。
スクロヴァチェフスキによるブルックナー演奏のエッセンスのようなものが詰まっている演奏。そんなふうに言えるのではないでしょうか。
清々しくも、興味深く聴くことのできる、素敵なブルックナー演奏であります。