ショルティ&シカゴ響によるショスタコーヴィチの交響曲第10番を聴いて

ショルティ&シカゴ響によるショスタコーヴィチの交響曲第10番(1990年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

ショルティらしい剛直な演奏であります。ここで鳴り響いている音楽が示している表情は、頗る毅然としたものとなっている。しかも、鮮烈であり、かつ、巧緻でもある。
全体的に、硬質な肌触りの演奏だと言えましょう。冷徹な音楽づくりが為されていて、ひんやりとした感触がします。端然としてもいる。それでいて、エネルギッシュでもある。いったん感情に火が付くと、音楽は熱く燃え盛り、畳み掛けるようにして煽情的な音楽が奏で上げられてゆく。そのコントラストたるや、実に鮮やかなものとなっている。
そのような演奏ぶりを通じて、ショスタコーヴィチならではのシニカルな味わいが巧まざる形で描き出されてゆくのがまた、見事。その様は、誠に潔いものだと言いたい。
そして、第2楽章と最終楽章の急速楽章では、整然としていつつも、音楽は疾駆してゆき、目が眩むほどに輝かしい音楽が展開されてゆく。
終演後には、歓声も混ざっての盛大な拍手が沸き起こっています。聴衆が、かくも興奮するのも、納得であります。

剛毅であり、聴いていてスカッとする演奏。そして、感情を煽られる個所が随所に散りばめられている演奏。
快演だと言えましょう。