ランパルによるモーツァルトのフルート四重奏曲を聴いて
ランパル、スターンらによるモーツァルトのフルート四重奏曲全4曲(1969年録音)を聴いてみました。
メンバーは、下記の通りになります。
フルート:ジャン=ピエール・ランパル
ヴァイオリン:アイザック・スターン
ヴィオラ:アレクサンダー・シュナイダー
チェロ:レナード・ローズ
ランパル(1922-2000)とスターン(1920-2001)は、1986年にも全4曲を録音していますが、そこではアッカルド(Va)とロストロポーヴィチ(Vc)が参加しています。
名手たちが集まっての豪華な演奏となっています。そして、堂々としていつつも、快活であり、自在感に溢れている。煌びやかで、艶やかで、華麗でもある。
「さあ、我々が極上のフルカル(フルートカルテット)を奏でますよ。どうぞお聴きあれ。」というような声が聞こえてきそう。
なるほど、少々豪華に過ぎていて、厚化粧なモーツァルトになっていると言えるかもしれません。そう、素朴さや、可憐さや、といったものは薄いように思える。しかしながら、よそゆきのモーツァルトの顔をしているようには感じられません。ましてや、重苦しさを覚えるようなこともない。むしろ、なんとも言えない飛翔感のようなものが感じ取れます。音楽そのものが嬉々として弾んでいる。そんなふうにも言えるような演奏となっています。
更に言えば、精密でありながら、堅苦しさは微塵も感じられない。ここでの「巧さ」は格別であるとともに、華やかで伸びやかな演奏ぶりに、惚れ惚れとしてしまうばかりであります。
実に立派な、そして、素敵な演奏であります。