ゲルギエフ&マリインスキー管によるストラヴィンスキーの≪春の祭典≫を聴いて

ゲルギエフ&マリインスキー管によるストラヴィンスキーの≪春の祭典≫(1999年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

ゲルギエフは、21世紀に入った辺りから洗練味を見せることが多くなったように思えます。2007年にロンドン響のシェフに就任した頃には、その傾向が顕著になっていたのではないでしょうか。しかしながら、この≪春の祭典≫では、1990年代のゲルギエフに特徴的だった野性味に溢れた演奏が繰り広げられています。頗る鮮烈であり、衝撃的な≪春の祭典≫だとも言いたい。
とにもかくにも、直截的な表現が採られているところが頗る多い。オケを思いっ切り鳴らしながら、音をガンガンとぶつけていく、といった音楽づくりが為されているのであります。金管楽器を随所で咆哮させ、低弦を強調させるシーンも多い。また、音楽が猪突猛進してゆくような箇所も、至る所で見受けられる。更には、第3曲の「誘惑」の場面などでは、音が蠢く(うごめく)ような風情が漂っている。最後の一撃などは、なんともショッキングなものとなっている。
総じて、凶暴で野太い音楽となっていると言えましょう。原始的で、異教徒的な色合いが濃くもある。

いやはや、聴いていて頗る面白い。とてもスリリングでもあります。いや、痛快だと言った方が相応しいかもしれない。
猛烈なまでにゲルギエフ色に彩られている演奏。そして、≪春の祭典≫の魅力を最大限引き出してくれている快演。そんなふうに言えるのではないでしょうか。