スヴェトラーノフ&ソビエト国立響によるボロディンの交響曲第2番を聴いて
スヴェトラーノフ&ソビエト国立響によるボロディンの交響曲第2番(1966年録音)を聴いてみました。
スヴェトラーノフ(1928-2002)が30代後半に録音した当盤。
いやはや、なんとも骨太な演奏であります。驀進力を持って音楽が突き進んでゆくかのよう。至る所で、咆哮している。そして、見得を切ってゆく。そんなこんなによって、ケレン味たっぷりに音楽を掻き鳴らされている。壮大であり、かつ、逞しい音楽となっている。野性味が感じられもする。
この時期のスヴェトラーノフならではの演奏ぶりであると言えましょう。
と言いつつも、ただ単に力任せな演奏であるとも言えそうにありません。生気に溢れていて、ニュアンスに富んでいる。その一方で、緩徐楽章の第3楽章では、ノスタルジックで哀感に満ちた音楽が奏で上げられている。切々と歌い上げられていて、とてもロマンティックな音楽となっています。
壮健でありつつも哀切でもあるという、そのコントラストの妙たるや、実に見事。
なるほど、芝居気たっぷりな演奏だと言えそうですが、作品への深い共感を抱いているがゆえの熱演。そんなふうにも言えるように思えます。しかも、ここでの音楽づくりは、この作品が持っている性格に鮮やかなまでに嵌っていると思える。
作品の世界にドップリと浸ることのできる、なんとも素敵な演奏であります。