カラヤン&ウィーン・フィルによるハイドンの≪太鼓連打≫と≪ロンドン≫を聴いて

カラヤン&ウィーン・フィルによるハイドンの≪太鼓連打≫と≪ロンドン≫(1963,59年録音)を聴いてみました。

なんと溌剌としていて、清々しい演奏なのでありましょう。
なるほど、カラヤンならではの、壮麗で、艶やかで、華やかさの感じられる演奏となってはいます。適度に流麗で妖艶でもある。それでいて、後年の録音のような厚化粧な演奏が繰り広げられている訳ではありません。味付けが濃厚すぎるということもない。粘り気を伴っている、ということも殆どない(粘り気については、緩徐楽章を中心に若干なりとも感じられます)。そう、爽やかな一陣の風を感じるかのような音楽が鳴り響いているのであります。清涼感を伴っている演奏が展開されている。更に言えば、音楽が見せてくれている表情が、キリっと引き締まっている。
そのうえで、語り口の巧さや、聴かせ上手なところは、これはもうカラヤンならでは。磨き上げが丹念でもある。ドラマティックで、輝かしくて、気宇が大きくもある。しかしながら、それらが、大仰に表されることなく、実直な形で姿を現してくれているよう思えるところに、強く惹かれます。
そして何よりも、実に颯爽としている。覇気が漲っている。そして、音楽が嬉々として弾んでいる。そのうえで、ハイドンらしい人懐こさや、親しみ深さにも不足がない。そんなこんなが、なんともチャーミング。
更には、ウィーン・フィルの何と美しいこと。艶やかで、しなやかで、優美な音たちが響き渡っている。
聴いていてご機嫌になってくる、素敵な素敵な演奏であります。

それにしましても、1950年代のフィルハーモニア管との録音、そして1960年前後のウィーン・フィルとの録音、この頃のカラヤンの演奏、魅力的なものが多いですよね。
この頃のカラヤン、私は大好きであります。