ケンペ&ミュンヘン・フィルによるベートーヴェンの≪英雄≫を聴いて

ケンペ&ミュンヘン・フィルによるベートーヴェンの≪英雄≫(1972年録音)を聴いてみました。

率直にして、端正な音楽が鳴り響いています。更には、清新な音楽世界が広がっているとも言いたい。
重すぎず、軽すぎないエロイカ。その辺りのバランスが、なんとも絶妙で、心地よい。
変に深刻ぶらずに、変に気負うこともなく、ス~っとベートーヴェンの世界に入り込むことのできる演奏。チャーミングで爽快なエロイカだとも言えそう。
それでいて、中身はギッシリと詰まっていて、充実感がタップリ。一点一画もゆるがせにしない、誠実な態度が貫かれている演奏となっています。実に真摯で、そのうえで、暖かみがあって、人間味に溢れていて、親しみやすさが感じられもする。
それもこれも、ケンペの豊かな音楽性と、人間性の賜物なのでありましょう。

とてもとても素敵なエロイカであります。