ブロムシュテット&サンフランシスコ響によるシベリウスの交響曲第2番を聴いて

ブロムシュテット&サンフランシスコ響によるシベリウスの交響曲第2番(1991年録音)を聴いてみました。


真摯で誠実な演奏ぶりであります。虚飾というものから、最も遠いところにあるような演奏だとも言えそう。
凛としていて、スッキリとしている造形が、なんとも美しい。そして、ブロムシュテットならではの暖かさがある。
しかも、決しておっとりしている訳ではなく、生命力が漲っていて、力感に溢れています。重心を低く採りながらの、安定度が抜群で充実感たっぷりな音楽が鳴り響いてもいる。それでいて、重すぎることなく、むしろ清々しさが感じられるような演奏となっている。律動感に満ちてもいる。
シベリウスらしい、抒情性や情熱にも、不足はありません。シベリウスの作品は、概して「うちに秘めた情熱」と言えるようなものを備えていると思うのですが、ブロムシュテットが示す情熱は、決して熱すぎることなく、格調の高さを伴っているように感じられます。その分、とても清冽でもある。
いつの時期のブロムシュテットにも共通した、キリっとした佇まいをしていつつ、サンフランシスコ響とのコンビで特徴的であった、「体幹」のしっかりとしている演奏となってもいる。

ピュアな美しさを湛えている演奏。実に立派で、聴き応え十分で、そのうえ、チャーミングでもある演奏。
ブロムシュテットの魅力がギッシリと詰まっていて、かつ、シベリウスを聴く歓びをタップリと味わえる、素敵な演奏であります。