ミンツ&レヴァイン&ベルリン・フィルによるドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲を聴いて

ミンツ&レヴァイン&ベルリン・フィルによるドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲(1986年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

美感に満ち溢れている演奏となっています。ある種の繊細さを秘めながら、情感たっぷりな音楽が響き渡っている。ロマンティックでもある。しかも、適度に激情的でもある。そういった風情が、この作品の音楽世界に相応しい。
まずもって、ミンツの奏でるヴァイオリンの響きが、惚れ惚れするほどに美しい。しかも、佇まいがキリッとしている。そう、品格の高い演奏ぶりが示されている。それでいて、ロマン派的な色合いを持っていて、かつ、「国民楽派」と呼ばれる作曲家の手になる作品が備えているロマンティシズムが、過不足なく表出されています。それは、格調高いロマンティシズムとでも呼べそうなもの。
そのうえで、十分に逞しさを備えている。力感にも不足はない。しかしながら、音楽のフォルムが崩れるようなことは微塵もない。美感を損ねるようなこともない。常に、瑞々しさを保っている。頗る艶やかでもあります。
そのようなミンツを支えているレヴァインの演奏ぶりからは、恰幅が良さや、奥行きの豊かさが感じられる。ボリューム感がありながらも、しなやかな音楽を奏で上げてくれているとも言えそう。或いは、品格を保ちながら、濃密な音楽を鳴り響かせている、とも表現できそう。それは、ミンツの演奏ぶりの影響を受けた上での音楽づくりなのかもしれません。この辺りがまた、協奏曲を聴く面白さなのでありましょう。

ミンツとレヴァインの美質が相乗効果を発揮してくれている演奏。しかも、美しい音楽世界に浸ることができ、かつ、表情豊かな音楽に出会うことのできる演奏。
なんとも素敵な演奏であります。