サロネン&フィルハーモニア管によるベルリオーズの≪幻想≫を聴いて

サロネン&フィルハーモニア管によるベルリオーズの≪幻想≫(2008年 ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

端正にして、スタティックな演奏が展開されています。前半の3つの楽章においては。そのこともあって、抒情的な美しさが漂っている。
この演奏では、コルネット版が採用されています。しかしながら、コルネットが出しゃばって周囲を華麗に駆け巡るようなことはなく、控えめ。この点も、前半の3つの楽章での演奏ぶりを象徴していると言えそう。
そのようなこともあって、第1楽章では、あまり躍動的な演奏とはなっていない。また、第2楽章は、優美な音楽世界が広がっている。あまり強調されることはないものの、コルネットが加わっていることによって、舞踏会の雰囲気に彩りが増すこととなってもいる。そして、第3楽章では、寂寥とした情景が広がってゆく。とは言うものの、どことなく暖かみが感じられるところが、サロネンらしいところで言えるかもしれません。
そのような演奏ぶりに対して、後半の2つの楽章では、動的な音楽づくりとなっていて、エネルギッシュであり、ダイナミックなものへと変貌しています。なるほど、この作品は、前半の3つの楽章と比べると、後半は力強くて活動的な性格が色濃くなる。その辺りを、かなりハッキリと表していて、コントラストの妙を浮かび上がらせようとしている演奏。そんなふうに言えるように思えます。
とは言うものの、例えば最終楽章の演奏ぶりも、過度に獰猛なものになっている訳ではありません。美観を損ねない範囲での激烈さが加えられている。そのために、前半の3つの楽章と均衡が図れているようにも思える。

設計の妙の感じられる演奏だと言いたい。更には、サロネンの志向する音楽がどんななのかということを理解するに当たっての助けとなる演奏だとも言えそう。
そんなこんなを含めて、なんとも興味深い演奏だと思えます。