シャイー&コンセルトヘボウ管によるメシアンの≪トゥーランガリラ交響曲≫を聴いて

シャイー&コンセルトヘボウ管(RCO)によるメシアンの≪トゥーランガリラ交響曲≫(1992年録音)を聴いてみました。
2人の独奏者は、ティボーデがピアノを担当し、オンド・マルトノは原田節さん。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

明快にして快活で、晴朗な演奏が繰り広げられています。そう、演奏全体が、明るくて、晴れやかで、朗らかな雰囲気に満ちている。そのうえで、隈取りが鮮やかでもある。生き生きとしていて、敏捷性が高くて、弾力性を帯びている演奏だとも言えそう。エネルギッシュで、ダイナミックでもある。そんなこんなによって、誠に痛快な≪トゥーランガリラ交響曲≫となっている。
全編を通じて、見通しが良い。しかも、豊麗かつ流麗な演奏が展開されている。煌びやかであり、カラフルでもある。とは言え、ド派手な色合いをしているというよりも、芳醇で落ち着きのある色彩を帯びている。この辺りは、RCOの体質に依るところが大きいのではないでしょうか。キビキビとしていつつも、過度に鋭利な演奏になっている訳ではないという点も、RCOに依るところが大きいように思えます。

美演だと言えましょう。そして、豊饒な音楽世界が広がってゆくような演奏となっている。音楽が、抵抗なく耳にス~っと入ってくる演奏だとも言いたい。
メシアンと言うと、少々難解な音楽であるというイメージを持たれがちだと思えますが、この演奏を通じて聞こえてくる音楽には、難解さは薄い。むしろ、親しみを覚えるような音楽となっている。華やぎが感じられる音楽となってもいる。
メシアンの諸作が苦手な方や、これから≪トゥーランガリラ交響曲≫に親しみたいという方に、お薦めしたい演奏であります。