カルロス・クライバー&バイエルン国立管によるベートーヴェンの交響曲第4番を聴いて
カルロス・クライバー&バイエルン国立管(バイエルン国立歌劇場管)によるベートーヴェンの交響曲第4番(1982/5/3 ライヴ)を聴いてみました。
これは、1981/8/14に亡くなったカール・ベームを偲んで、ミュンヘンで開かれた追悼演奏会のライヴ録音となります。
それにしましても、なんと推進力に満ちた演奏なのでしょうか。はち切れんばかりの生命力に溢れています。それはまさに火の玉のような、灼熱の演奏。
そのうえで、敏捷性が高くで、鋭敏でもある。冒頭部分などは、緊迫感に包まれた音楽が鳴り響いている。そして、主部に入ってからの、なりふり構わず突き進んでゆく様は、壮観だと言えましょう。徹頭徹尾しなやかな演奏ぶりだとも言いたい。
更に言えば、全編を通じて、歌謡性に溢れた、流麗な演奏が繰り広げられている。輝かしくて、かつ、伸びやかで晴れやかでもある。エネルギッシュで、ドラマティックで、スリリングでもある。そして何よりも、とても率直な音楽となっている。
かなり大袈裟な演奏であるとも言えそうなのですが、どこにも誇張は感じられません。まさに、こうあらねばならない、という表現で満ちている演奏だと思えてならない。それは、ここでのカルロスの音楽づくりが、この作品の持っている生命力に直結しているからに他ならないためでありましょう。
演奏者たちの、音楽する歓びに溢れている演奏。なおかつ、聴き手を魅了する強大な力を備えていて、音楽を聴く歓びをもたらしてくれる演奏。
いやはやこれはもう、見事としか言いようのない演奏であります。