ベーム&ウィーン・フィルによるシューマンの交響曲第4番を聴いて

ベーム&ウィーン・フィルによるシューマンの交響曲第4番(1978年録音)を聴いてみました。

ベーム(1894-1981)最晩年の録音の一つでありますが、ベームにとって同曲の初録音となったのみならず、ベームによるシューマンの交響曲のセッション録音は、これが唯一のものとなりました。
さて、ここでの演奏と言いますと、実に燃焼度の高いものとなっています。高齢の指揮者によるものとは思えないほどに、覇気に満ちていて、推進力に富んだ演奏が展開されている。
音楽がうねりにうねって突き進んでいる。そう、誠にパッショネートな演奏となっています。力感や流動感が存分に備わっている。そのような様が、この作品の性格にピッタリだと言えましょう。
更に言えば、凝集度が高く、恰幅の豊かな音楽が鳴り響いています。生命力にも満ちている。尚且つ、ふくよかでもある。適度に壮麗でもある。そして、最終楽章の終結部の高揚感は絶大なものがある。
そんなこんなのうえで、コクの深さの感じられる演奏となっています。流麗で情熱的でありつつも堅固であり、造形美が感じられもする。重厚で、骨太でもある。その辺りがまた、いかにもベームらしいところ。
そのようなベームの音楽づくりに加えて、ウィーン・フィルによる、しなやかでまろやかで艶やかで優美な響きの魅力は、ここでも圧倒的であります。

最晩年のベームによる、渾身の演奏。その結果として、この作品の魅力が遺憾なく描き出されてゆく。
何とも立派で、聴き応え十分な、素晴らしい演奏であります。