城南宮での曲水の宴への参列と、セル&クリーヴランド管によるモーツァルトの≪レクイエム≫

京都市内の南部に鎮座している城南宮では、年に2回、曲水の宴が催される(4/29と11/3の開催)のですが、そちらに参列してきました。
曲水の宴は王朝貴族の遊びの再現。平安装束を身にまとった歌人が、神苑の小川のほとりに座り、歌を詠むというもの。その間には、白拍子の舞も行われます。
雅な伝統行事が、日常的に執り行われている京都。その歴史の重みが、ひしひしと感じられます。

さて、本日の音楽は、セル&クリーヴランド管によるモーツァルトの≪レクイエム≫(1968年ライヴ)。NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

凝縮度が高く、かつ、清澄な演奏であります。そして、頗る気高い。
セルらしく、キリっとした表情をしている。そう、とても凛々しい音楽になっています。そのうえで、敬虔な雰囲気を湛えている。
それでいて、充分なる躍動感を備えている。音楽がキビキビと運ばれている。しかも、粒立ちが鮮やかで克明な音楽づくりが為されていつつも、必要十分にふくよかであり、身のこなしがしなやかでもある。冷たさは一切感じられず、暖かい。毅然としていながら、聴き手を優しく包み込むような器の大きさが感じられもする。

いやはや、なんとも懐の深い演奏。
セルの音楽性の豊かさや、音楽に対する愛情や責任感や、といったものが如実に現れている、素晴らしい演奏であります。