ベーム&ウィーン・フィルによるワーグナーの序曲・前奏曲集第1集を聴いて

ベーム&ウィーン・フィルによるワーグナーの序曲・前奏曲集第1集(1978,79年録音)を聴いてみました。収録曲は、以下の4曲になります。
≪リエンツィ≫序曲
≪タンホイザー≫序曲
≪ニュルンベルクのマイスタージンガー≫第1幕への前奏曲
≪パルジファル≫第1幕への前奏曲

豊潤な演奏であります。更に言えば、芳醇でもある。
気宇が大きくて逞しくて、壮麗で、しかも潤い豊か。音楽全体が、毅然としていて、堂々たる風格に満ちている。峻厳でいて、暖かみがある。ちょっぴりいかめしさが感じられつつも、ふくよかで、しなやかでもある。そのうえで、薫り高くもあるのです。
オペラの幕開け前に演奏される音楽としての、劇的な感興やドラマ性が豊かでもある。ズシリとした手応えを備えていて、かつ、充分に華やか。壮大な音楽世界の広がる演奏が展開されています。しかも、こけおどしなところが微塵もない。
それに加えて、ウィーン・フィルがここでも、しなやかで柔らかくて、艶やかな美しい響きを惜しげもなく提供してくれていることによって、この演奏の魅力がいや増している。音楽に潤いやふくよかさを与えている大きな要因は、ウィーン・フィルにあると言えましょう。

聴き応え十分な、そして、極めて充実度の高い、素敵なワーグナー集であります。