マッケラス&プラハ室内管によるモーツァルトの≪ポスト・ホルン≫を聴いて

マッケラス&プラハ室内管によるモーツァルトの≪ポスト・ホルン≫(1984年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

マッケラス&プラハ室内管のコンビは、1980年代の後半に、充実度の高いモーツァルトの交響曲全集を完成させていますが、それと前後した時期に数曲のセレナード作品も録音しており、当盤はそのうちの1枚になります。
このコンビによるモーツァルト演奏の特徴としましては、筆致が逞しくて、しかも、しなやかで、キビキビとした躍動感に満ちている点が挙げられましょう。そのうえで、伸びやかで、晴れやかで、明朗な音楽世界が広がってゆく。
そのような特徴は、この≪ポスト・ホルン≫での演奏にも当てはまります。と言うよりも、セレナードという機会音楽である分、このコンビのモーツァルト演奏の美質が強調されているように思えます。
生気に溢れていて、颯爽とした雰囲気に包まれている。誠に朗らかである。無節操にはしゃぎ回っている訳ではないのに、愉悦感に溢れている。しかも、極端に華美にならない範囲で秀麗でもある。そう、節度が保たれていて、端正であり、かつ、音楽全体が健やかに弾けているのであります。
その一方で、緩徐楽章では、歌心に満ちていて、情緒の豊かな音楽が奏で上げられている。
そのような演奏ぶりによって、このチャーミングな作品が、より一層魅力的に輝くこととなっている。雅趣に富んでいる、小粋な音楽が鳴り響くこととなってもいる。

聴き応え十分で、尚かつ、頗る心地よい演奏。聴いていて、幸福感に包まれてきます。
いやはや、なんとも素敵な演奏であります。